研究課題
基盤研究(C)
植物の病害抵抗性反応として誘導される過敏感(HR)細胞死の制御機構を詳細に理解するため、本細胞死の制御に関わるテロメラーゼ活性(TA)の機能及び発現調節機構について検討した。得られた研究成果の概要は以下の通りである。1 各種の宿主植物-病原細菌の組み合わせでは、HR細胞死を生じない親和性の場合にのみ感染植物においてTAの誘導がみられることから、TAは植物の罹病性と密接に関連していることが明らかになった。また、シロイヌナズナの罹病過程におけるTAの発現はテロメラーゼ遺伝子AtTERTの転写段階で調節されていること、本遺伝子の5'上流に存在するBBFモチーフが転写調節に関与することが示された。2 TAは病原細菌のType III分泌装置によって宿主細胞内に導入される何らかのエフェクターを介して誘導されること、HRの誘導に関与する既知のHrpエフェクター群はTAの発現を負に制御すること、およびサリチル酸を介したHRの誘導経路がTAの発現制御に関連する可能性が示された。3 シロイヌナズナの培養細胞とテロメラーゼ阻害剤を用いた実験から,TAは植物細胞の増殖維持とアポプトーシス様細胞死の抑制に寄与することが明らかになった。また、TAのもっDNA末端へのテロメア付加活性がHR細胞死の誘導抑制に関与することが示唆された。4 シロイヌナズナにおけるアポトーシス抑制因子AtBI-1がHR細胞死の抑制に働くこと、およびテロメア結合因子Ku70はTAを正に制御することが明らかになった。以上のほか、イネのdihydroflavonol-4-reductaseが細胞内レドックスおよび細胞死の制御に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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