研究概要 |
4-acetylnivalenol(4-AANIV)と4,15-diacetylnivalenol(4,15-diANIV)を混合生産する菌株を用い、トリコテセンの側鎖多様性を生み出す遺伝的メカニズムを明らかにすることを目指してtypeBトリコテセン生合成遺伝子(Tri遺伝子)の機能と生合成経路の解析を行なった。まず、C-7/C-8位の水酸化に関わるFgTrilを標的遺伝子破壊したところ、主にcalonectrinが蓄積し、C-4位が水酸化されたトリコテセンは検出されなかった。このことから、typeBトリコテセンではA-ringの修飾が起こってからC-4位の水酸化が起こることが示された。実際、C-4位が修飾された4,15-diacetoxyscirpenolをフィーディングしてもA-ringの修飾は進まなかった。次に、C-4位にアセチル基が入らないようにC-4位水酸化酵素遺伝子Tri13やアセチル化酵素遺伝子Tri7を破壊した株では、C-15位が脱アセチル化された代謝産物が検出できないことが明らかとなった。このことから本菌株のC-15位脱アセチル化酵素は、4,15-diANIVのみを基質として作用できることが示された。そこで、本菌株cell free extractを調整し、硫安分画を行なったところ、4,15-diANIVを脱アセチル化する酵素活性を検出することに成功した。本酵素を陽イオンカラムクロマトグラフィーによって部分精製したところ、至適pHを4付近にもつ酸性デアセチラーゼであることが明らかになった。
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