研究課題
基盤研究(C)
新潟県妙高山、岐阜県御嶽山ほかから検出された土壌菌核粒子のバルク14C年代および化学組成と土壌菌核検出土壌の腐植酸を分子サイズや極性の違い(疎水性・親水性成分)に応じて分画した試料について4C年代を測定することにより、構造体として土壌に残留する土壌菌核粒子の形成、発達、消滅プロセスを明らかにすることを目的とした。菌核粒子の14C年代は粒子の形成年代を指示し、年代が古いほど菌核粒子の炭素量は減少し、炭素分解速度は5.0×10-5g/kg yearと見積もられた。また、炭素量は粒子の大きさによらないこと、菌核粒子の構造は0-アルキル炭素で特徴づけられ、糖鎖に富む極めて生物的性格をもつこと、δ^<13>C値は古い粒子ほど減少すること、土壌中で成長することはなく、表土において3000年近い値をもって滞留するなどの事実が明らかとなった。また、菌核粒子の14C年代は腐植酸やヒューミンなどの難分解性の有機物と同等の年代をもつことが明らかとなったが、腐植酸Pgの年代値は土壌菌核粒子よりもやや若く、Pgが菌核粒子を起源とするという定説を支持するデータは得られなかった。クロロホルム抽出緑色画分(CEGF)は有機溶媒の影響により14C年代を得られなかったので、今後さらに試料の処理法を検討していく必要がある。炭素安定同位体比の変化は菌核粒子生成初期の腐植の性状の差異によると考えられたが、菌核粒子の年代に伴う炭素量の変化は内部の微生物作用が考えられた。微生物分析より、粒子内部の微生物群集は粒子をとりまく土壌より多様性が高く、Acidobacteriaや還元的脱塩素化が報告されているDehalococcoids sp.などのクローンが検出された。またこれまでに培養法によりSphingomonus属が検出されていることから、内部生息細菌が菌核構造の消滅プロセスに関与していると考えられた。本研究により、土壌菌核粒子は糸状菌の休眠体としてだけでなく、細菌のシェルターとして存在する耐久構造をもつ土壌構成成分であることが確認され、土壌菌核粒子の研究により土壌腐植の安定化と生物生存システムの解明に役立つ情報を得ることが期待される。
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