研究課題
基盤研究(C)
1)胞子形成に伴う細胞死プロセスについて、蛍光タイムラプス顕微鏡を用いて経時的に詳細な観察を行ない、蛍光染色された細胞膜、DNAなどの細胞内巨大分子の崩壊過程を明らかにした。母細胞死は、細胞壁溶解が引き金となると考えられていたが、我々の観察研究結果より、細胞膜の崩壊が最初に観察され、その後細胞壁が溶解することが、鮮明な画像として観察された。細胞壁は、母細胞膜崩壊後もフォアスポアを保護し、胞子成熟の最終ステージまで残存することが重要であることが示唆された。また、細胞内のエネルギー状態が、胞子形成を決定づけるものと考えられ、胞子形成とエネルギー量との関係の重要性が示された。2)その解析の初期段階として、枯草菌の呼吸システムに着目し、特にエネルギー産生に必要な呼吸鎖の入り口部分に相当する最も重要な酵素、NADH脱水素酵素をコードする遺伝子の発現調節機構を調べた。まず、NADH脱水酵素をコードする遺伝子の一つであるyj1Dの変異株において栄養増殖期の生育が著しく低下することを見出した。さらに、この変異株においてNADH/NAD^+比が著しく上昇したため、Yj1Dが主要なNADH脱水素酵素と示されNdhと名付けた。次に、ndhの転写を調べたところ、ndhは、NADH/NAD^+比を感知し、レプレッサーとして働くことが推定されるRexにより、調節されることを明らかにした。さたに、NADH/NAD^+比を変化させ、RexのDNA結合能を調べ、その結果、NAD^+によりRexのDNA結合能が上昇し、ndhの転写を負に制御することを明らかにした。この結果から、ndhとRexを介したNADH/NAD^+比の制御ループが存在することが示された。今後、この胞子形成期の母細胞内の呼吸系酵素の遺伝子発現調節機構を調べることにより、エネルギー産生と母細胞死との関連が明らかになると期待された。
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