研究概要 |
1)Biphenyl dioxygenaseの改良として、BphA(2-2)をBphA(2072)のアミノ酸変換により創製した。本BphA(2-2)を用いることにより、BphA(2072)では変換の進行しなかった7-hydroxyflavone, chrysin(5,7-dihydroxyflavone)を変換できるようになった。BphA(2-2)+BphBで変換することにより得られた新規変換フラボン(B環の2',3'-diol)は優れた抗酸化作用を示した。 2)P450としてはpfusion, Balkと命名した2種類の遺伝子を海洋バクテリアを単離し、これを大腸菌に組み込んだ。これら組み換え大腸菌を用いていくつかの化合物の変換を実施した。この結果pfusionは様々な芳香環に対してOH基を導入可能であることが明らかとすることができた。一方でBalkは末端メチル基の水酸化を主として行うことが明らかとなったが、例外的にベンゼン環化合物(2-bromo-phenol)についてはフェノール性OH基を導入できることも明らかにすることができた。 3)我々がこれまでに開発してきたbiphenyl分解経路酵素を複合的に利用した生変換による物質生産(CellCombiChem)と、他の研究Gの生変換を組み合わせて、さらに新しい変換物質を生産する試みに着手した。まず最初の試みとして、東大生物工学センター葛山助教授Gが有する芳香環のprenyl化酵素(NphB)変換と、我々のBphA+BphB変換(1,2-diol化合物の生産系)の組み合わせを行った。 A : chrisinに対してまずBphA(2-2)+BphB変換を行い、得られた変換物についてNphB変換を実施 B : chrysinに対してまずNphB変換を行い、得られた変換物についてBphA(2-2)+BphB変換を実施 の2通りの連続変換を実施した結果、AではBphA(2-2)+BphB変換により、B環が2',3'-diolとなったchrysinが得られ、さらにこれにNphB変換を行うことにより3種のgeranyl化物を得ることができた。主変換物はB環5'にC-geranylが導入されたmono-geranyl化物であった。残りは現在構造決定中であるが、いずれも5'-geranyl化はされており、別に1箇所0-geranylが導入されたdi-geranyl化物と推定している。3種とも新規フラボンであった。一方B法では、chrysinのNPhB変換により、6-C-geranyl chrysin,7-0-geranylchrysinが得られたものの、これらの化合物についてはBphA(2-2)+BphB変換反応は全く進行しなかった。
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