研究概要 |
食肉の生産過程で種々の副生物が生じる.これらは加熱処理後に肥料等に利用されているが多くは廃棄されている.しかし,加熱処理された副生物中には変性タンパク質が豊富に存在している.これら熱変性タンパク質はレジスタントプロティンと称し,投与された宿主の腸内細菌叢の正常化や活性化につながる可能性が高い.そこで食肉副生物の安全性と機能性を探求するために,ラットを用いた生体作用機序の一つである脂質代謝への影響を探求した.その結果は以下の通りです 1.摂取量及び体重には各投与区間で有意な差はみられなかった.しかし血清総コレステロール及びVLDL+IDL+LDL-コレステロール濃度は動脈投与区で上昇抑制が見られ,中性脂肪濃度は両試験区で有意に低下した.肝臓の脂肪酸合成酵素mRNA発現量は動物性タンパク質投与区で有意に低下し,盲腸内腸内細菌叢,特に一般嫌気性菌及びビフィズス菌は増加する傾向がみられた.以上の結果より,動物性タンパク質は腸内細菌叢を活性化させ血清脂質を低下させる可能性が示唆された. 2.牛第1胃では体重,各臓器重量など対照区と比べ差はなく,成育に異常はみられなかった.血清脂質に対照区と比較して差はみられなかった.肝臓の脂肪酸合成酵素mRNA発現量は牛第1胃投与区では差はみられなかった.以上の結果より,第1胃タンパク質ではその機能性は確認できなかった.しかしながら,食としての安全性は確認できた. 以上の結果,アキレス腱及び動脈のタンパク質は脂質代謝改善効果を有することが確認できた.また,第1胃のタンパク質は機能性は認められなかったが,動物性タンパク質の食品素材としての安全性は確認できた.
|