配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
近年,加工食品や保存食品が開発されるようになり,加えて,食品流通システムの変化の影響もあり,食の安全の重要性が再認識されるようになった。食品の安全性を科学的・系統的に理解し,予測するためには,内部の分子運動と保存性との関係を定量的に把握することが重要と思われるが,そうしたアプローチはあまり見られない。本研究では,近年,食品科学で着目されているガラス転移を理論的基盤として,分子の運動性の変化と保存性の関係について解明することを目的とした. 初年度は,DSCにより小麦粉グルテン,マルトデキストリンなどのガラス転移点T_gの測定を行った.次年度は,水が食品の重要な可塑剤であることから食品の水分収着特性の測定および解析を行い,溶液熱力学により求められる固体側の自由エネルギー変化によって水の可塑化効果が評価しうることが確認された.また,水分収着速度が極小となる水分活件が存在することが見出された.最終年度は,パルスNMRを用いて,FID(自由誘導減衰)スペクトルの測定を行い,分子の運動性を反映するスピン-スピン緩和時間T_2および動きにくいプロトンの挙動を反映する二次モーメントM_2を算出し,ガラス状態とラバー状態における分子の運動性の変化について検討した.また,小麦粉グルテンとマルトデキストリンに関して,粉体食品の保存において重要な固結現象について検討を行った.結果として,小麦粉グルテンおよびマルトデキストリンに関しては,含水率の増加に伴ってT_2は増加してM_2は減少して分子の運動性が増加することが確認された.また,水分収着速度が極小となる含水率付近からM_2の値も減少し,動きにくいプロトンの運動性が増加するに伴い,水分収着速度が上昇することがうかがわれた.固結に関しては,吸湿や昇温によってラバー化した後に降温してガラス化することによって固結が進行することが確認された.
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