研究課題/領域番号 |
17580135
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学・森林工学
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
田中 克典 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (80344274)
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研究分担者 |
田中 延亮 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科・農学国際専攻, 助手 (10323479)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 水循環 / モデル化 / 植物 |
研究概要 |
研究対象地である落葉林では、雨季の始まりとその期間の変動によって落葉林の着葉期の長さが変わり、その年々変動が著しいことが明らかになった。昨年度は落葉林の大気-植生-土壌内の熱・水環境を再現できる大気-植物-土壌間の蒸発散のモデルが開発された。本年度はこのモデルによる対象地の熱・水環境の再現と数値実験を通じて、落葉林の蒸発散の季節・年々変化と着葉期間のメカニズムを調べた。これらの再現実験では、葉面積指数の季節性を考える場合と一定にした場合を仮定して行われた。現実と異なり葉面積指数を一定にした理由として、土壌水分が著しく減少する乾季においても、光合成による二酸化炭素吸収が可能であるかを検証するためである。ここでは、調査で得られた葉面積指数のピーク時の値、土壌の水利特性や土壌の深さを考慮した。葉面積指数の季節性を考慮した実験では、3年間の土壌水分の観測結果が十分再現され、モデルで計算された蒸散が蒸散の指標となる樹液流速の季節性とよく一致した。また、この再現実験によって、蒸発散のピークが雨季に現れるなどの熱・水交換の特徴が抽出され、着葉期間中、二酸化炭素の吸収を持続できることがわかった。一方、葉面積指数を一定にした場合では、乾季に二酸化炭素の吸収を持続できず、逆に放出し、葉を通年維持できないことが示された。これは、土壌水分の減少とともに気孔が閉じ、蒸散による葉温のコントロールが失われ葉温が上昇し、呼吸活動が活発になるためである。また乾季から雨季に移っていくなかで、純光合成の値が放出から吸収に転じる時点と春分の日以降に展葉した年での展葉期がよく一致した。一方、雨季が終わって、完全落葉する少し前の時点で純光合成の値が吸収から放出に転じることが示された。この数値実験により研究対象である落葉林の成長期間における予測可能性を示した。現在これらの成果は論文に纏められ、英文誌に投稿中である。
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