研究課題/領域番号 |
17580150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産科学・木質工学
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研究機関 | 宮崎県木材利用技術センター |
研究代表者 |
荒武 志朗 宮崎県木材利用技術センター, 木材加工部・特別研究員兼副部長 (10399678)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | めりこみクリープ / 木材乾燥 / 柱脚柱頭接合部 / 長ほぞ差し込み栓打ち / 事故的水かかり / 軸組工法 / メカノソープティブ変形 / 柱-土台接合部 |
研究概要 |
宮崎県産スギ心持ち正角材(未乾燥材、高温乾燥材、燻煙熱処理材、蒸気式乾燥材、天然乾燥材)を用いて、実大の柱-土台接合部I型試験体(以下、試験体)を製作し、めり込みクリープ試験を実施した。この場合、試験体の接合部には、短ほぞ差しかど金物当て釘打ち、及びほぞ深さの異なる2種類の長ほぞ差し込み栓打ちを採用した[具体的には90mm(以下、S型)と105mm(以下、L型)]。負荷荷重は、当初は2階建てモデル建物の最大柱軸力891kgf(以下、ステージ1)としたが、その後一端除荷し、クリープ回復を待って同年9月4日から基準強度×1.1/3(2471kg)の負荷条件(以下、ステージ2)で実験を再開した。変位は、クリープ変位のほかに躯体全体の鉛直変位や土台の収縮・膨潤や温湿度も併せて測定した。得られた成果は、以下のとおりである。 1.ステージ1:L型では、何れも変位の進行が極めて微小であり、乾燥方法による相違や事故的水かかりの影響も明確ではなかったが、その一方で、S型では、相対的にクリープの進行や事故的水かかり後の変位増加が大きかった。具体的には、約1年経過時(2度の事故的水かかり試験を含む)の鉛直変位がS型では0.66〜1.48mm、L型では0.24〜0.39mmとなり、両接合方法間で大きな差が生じた。一方、未乾燥材試験体では乾燥材試験体の5倍以上の鉛直変位増加が認められた。 2.ステージ2:ステージ1よりも、さらにS型とL型の変位の差が明確に現れた。具体的には、S型では、半年後の鉛直変位が1.7〜5.2mmとステージ1の数倍にも達したのに対し、L型の同変位は0.32〜0.75mmとステージ1より僅かに大きいのみの値を示した。この結果から、基準強度×1.1の荷重条件は、S型に対しては極めて過酷といわざる負えないが、L型に対しては実用上大きな問題はないと考えられた。 3.以上の結果から、鉛直変位を可能な限り低減させるためには、柱の縦圧縮に応力の多くを負担させるような接合法を採用することが極めて効果的なこと、並びに部材の含水率に配慮した施工を心がける限りスギの土台としての適合性に大きな問題はないことなどが明らかになった。
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