研究概要 |
1.カサゴ胃より56,52および46kDaのキチナーゼアイソザイムが得られ、N-末端アミノ酸配列およびβアノマー生成分解様式より、いずれもfamily18キチナーゼに属すると判断された。いずれも結晶性キチンに対して広い基質分解能を示し、56kDaはキチンオリゴ糖の非還元末端より3番目の、52および46kDaは2番目のグリコシド結合を良く加水分解した。 2.スルメイカ肝臓よりβ-N-アセチルヘキソサミニダーゼを精製した。精製酵素の分子量はゲルろ過より125kDaと推定され、反応の最適pHは4.0、最適温度は70℃で、Km値は0.23mMであった。本酵素はキチンオリゴ糖の非還元末端より単糖を遊離する酵素であることが判明した。 3.紅藻イボツノマタより3種のキチナーゼアイソザイム(Chi-A,24.5kDa,pI3.0;Chi-B,25.5kDa,pI4.6;Chi-C,24.5kDa,pI<3.5)を精製した。N-アセチルキトオリゴ糖に対し、いずれのアイソザイムも5糖以上を分解し、βアノマーの3糖を生成した。これらの結果より、いずれもfamily18キチナーゼと同様にリテイニングメカニズムで基質を分解すると判断された。3種のアイソザイムはいずれも結晶性キチンに対し、イカβキチンを最も良く分解した。 4.マサバ胃38kDaキチナーゼのN-末端アミノ酸配列およびファミリー18キチナーゼの保存配列より縮重プライマーを設計し、胃より調整したcDNAをテンプレートに用いてPCRを実施した。これより350bpの増幅を認め、配列を解析した。この情報をもとにさらに5'および3'RACE法により上流および下流域を増幅させ、全長の塩基配列を決定した。
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