研究概要 |
ノニルフェノールモノエトキシレート(NPEO_1)やノニルフェノールジエトキシレート(NPEO_2)は工業用界面活性剤のノニルフェノールポリエトキシレート(NPEOn)が微生物分解されて生じる内分泌かく乱物質である。本研究では我々が海浜環境から分離したノニルフェノール-1,-2,-3エトキシレート(NPEO_<1-3>)分解細菌Marinobacter sp. TY4株について、その分解活性や遺伝子構造ならびに突然変異株を用いて分解に関与する遣伝子の解析を行った。 その結果, (1)catA欠失株の作製に成功したが、 (2)欠失株がNPEO1-3を分解したことから,catA遺伝子はNPEO_<1-3>分解に直接関与していないことがわかった。 (3)欠失株には微弱なカテコール分解活性が残っていた。カテコール分解遺伝子を複数持つ細菌がすでに報告されていることから,TY4株はこのcatAの他にもカテコール分解遺伝子を持ち,これによりNPEO1-3が分解されると推察された。 (4)Marinobacter sp.TY4株は粒子にノニルフェノール化合物が吸着した状態でのみ分解能を発揮することがわかった。 (5)benA欠失株はNPEO1-3分解に関与するcatA以外の遺伝子の発現に影響して分解能の発現を遅らせることが示唆された。 (6)分解活性が定常期細胞にのみ見られたことから,定常増殖期に入って脆弱になった細菌細胞から分解酵素が漏出して,NPEO_<1-3>を分解していると考えられた。
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