研究課題/領域番号 |
17580196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
沈 金虎 京都大学, 農学研究科, 講師 (70258664)
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研究分担者 |
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
小田 滋晃 京都大学, 農学研究科, 教授 (70169308)
浅見 淳之 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60184157)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 草原退化 / 砂漠化 / 過放牧 / 草原農業政策 / 経営請負制 / コモンズの悲劇 / 生態環境保護 / 生産責任制 |
研究概要 |
本研究は80年代以降中国草原地域の経済・社会の変容と草原退化との関係や、今後の対策について実証的・体系的に研究するものである。文献研究、統計分析及び現地調査を通じて、以下のことを明らかにした。 草原退化の原因は自然と人間、両測面があるが、戦後中国草原地域の気象変化をみる限り、気象変化が主要因とは考えられない。その間に降雨量の年次変動は激しいが、傾向的な増減はなかった。一方、平均気温は90年代以降上昇傾向が観測された。気温の上昇が乾燥度を増させて草原の退化を促す可能性はあるが、反対の可能性もある。また他の地域に比べて草原地域の気温上昇が特に大きく、草原退化が気温上昇の一因とも考えられる。 草原退化の最大原因はやはり農地開墾、過放牧等不適切な利用方法にある。しかもそれらの行為は直接に草原の特徴と環境保全の重要性を無視した草原農政と結び付いている。特に草原の過放牧は、第1に徹底しなかった草原経営請負責任制(家畜は80年代初に牧戸に配分されたのに、草原使用権の配分は90年代後半から漸く本格化した)下に生じたコモンズの悲劇、第2に政府が草原生態保護投資を怠ってきたことに原因がある。その問題に対処する為、90年代後半から政府が漸く経営請負責任制の強化と草畜平衡、輪牧・休牧の推進等の対策を講じ始めたが、予算投入は少なく、また草原農業の基本が経営請負責任制下の家族経営に置かれ続けているため、現段階では顕著な効果は現れていない。 環境悪化問題が深刻化しつつある今、まず草原農政の重心を効率性追求から環境保護にシフトすべき。また草原退化と貧困問題が密接に関連していること、草原の輪牧・休牧等に規模の経済性があること等を考えれば、政府は第1に草原投資を拡大すること、第2に現行の草原行政、経営形態を見直し、生態保護に有利な共同生産組織や地方行政を再構築する必要があると思われる。
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