研究概要 |
高糖度トマトを生産する方法の一つに水耕栽培における養液制御法がある.水ストレスや塩ストレスによる養液制御は、果実の品質と収量を大きく左右するが,その養液管理は経験に頼っているのが実情である.したがって,確実に目的とする糖度や品質の果実を生産するためには,高度な養液制御技術が必要となる. このような技術を達成する方法として、生育過程にあるトマト果実の内成分情報に基づく養液制御法が考えられる.すなわち,樹上にあるトマト果実の内成分情報を近赤外分光法により検出することができれば,この情報をリアルタイムで養液制御に反映させることができると同時に,果実の収穫適期を判定することにも利用できる.本研究において、近赤外分光法により樹上にある緑熟トマト果実の内成分情報をモニタリングするとともに完熟時の糖度を予測し、これを養液制御に反映させるためのシステムを構築することが可能となった(特許申請「給液制御装置」)。さらに、果実の内成分情報に加えて、植物のより早いストレス情報を得るために、トマト植物の水ストレスの評価指標である植物葉の水ポテンシャルを、現場で非破壊測定するためのキャリブレーションモデルを作成し、トマト植物葉の水ポテンシャルを栽培現場で非破壊かっリアルタイムで測定できるシステムを構築した。これによって、植物葉の水ポテンシャル情報に基づく養液制御が可能となった。これらの成果は、学術論文4報、特許申請3件に結実した。なお、これらの研究成果を栽培現場での技術に活かすために実用装置の試作を行いく商品化を目指しているところである。
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