研究概要 |
バレイショ加工場では,外観品質(表皮色や形状,腐敗,緑化の有無等)について選別除去基準を設定している。ここでは緑化したバレイショは除去されるものの,表皮色に変化の表れないPGA果に関しては迅速な判定方法がないことから,外見では緑化していなくても多量にPGAを含んだバレイショ(低緑化・高PGA果)が原料に使われている可能性がある。 本研究では,画像処理法と分光分析法を用いて,低緑化・高PGA果の存在を確認するとともに,熟練作業員の選別作業に替わりうるPGA果の迅速非破壊検出法の検討を行った。 供試用暗室に設置した供試バレイショへハロゲン光を照射し,反射光を液晶チューナブルフィルタによって分光し,CCDカメラによってハイパースペクトル画像を取得した。また,光ファイバーにより透過光を受光し,吸光度を測定した。PGAの定量にはプロット呈色法を用いた。 供試バレイショを約13℃の冷蔵室内に静置し,緑化およびPGAを生成させるために設定した時間だけ曝光させた。曝光時間を1日に0時間(無曝光),1時間,24時間の曝光区を設けた。 緑化の特徴波長として分光バンド比とPGA濃度をプロットした結果,分光バンド比「1」付近において1時間曝光のバレイショの方が0時間曝光のバレイショより高いPGA濃度を示していることから,「低緑化・高PGA果」の存在が確認できた。また,各波長における分光反射率の一次微分値を算出して,PGA濃度との比較を行った結果,男爵ではある波長における一次微分値が上昇するほど,PGA濃度が高くなる傾向が見られ,この一次微分値からPGA濃度を推測できる可能性が示唆された。さらに,各波長における一次微分吸光度を算出し,PGA濃度との比較を行った結果,一次微分吸光度が減少するほどPGA濃度が上昇する傾向が見られ,特定の波長における一次微分吸光度からPGA濃度を推測できる可能性が示唆された。
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