研究概要 |
亜鉛安定同位体である^<67>Zn(天然存在比4.1%)を用いて、ブタおよびヤギにおける亜鉛代謝を検討した。第一にICP-MSを用いたヤギ糞中同位体比の分析を検討し、亜鉛濃度が10μg/L以上では同位体比(^<67>Zn/^<64>Zn)が再現性、直線性、添加回収率ともに高く測定できることが示された。 第二に、子ブタにおいてフィターゼ添加が亜鉛代謝に及ぼす影響を検討するために、^<67>Znをトレーサーとして経口投与した。糞中^<67>Znエンリッチメントは、トレーサー投与3日目以降急激に低下し、特に4、5日後では著しく低くなった。見かけの亜鉛吸収は両区の間に差は生じなかった。一方、真の吸収はフィターゼ添加により有意に増加した(P<0.05,18.25±1.37vs26.00±1.97mg/d(平均±標準誤差))。また、内因性糞中排泄はフィターゼ区で増加傾向が認められた(P=0.07,3.63±1.46vs9.62±2.15mg/d)。以上の結果から、飼料中フィターゼはフィチン酸を分解し亜鉛の吸収を促進すること、亜鉛吸収の増加に伴い内因性糞中排泄が促進されることが示された。 第三に成ヤギにおける亜鉛代謝を検討するために^<67>Znをトレーサーとして経口投与した。トレーサー投与2日目に^<67>Znエンリチメントはピークとなり、その後急激に減少した。投与7日目ではエンリッチメントは10%を下回りほぼ一定となった。見かけのZn吸収は-0.6±1.2mg/d、真の吸収は9.6±1.2mg/d、内因性糞中排泄は10.2±0.6mg/dであり、十分量の亜鉛を給与された成ヤギでは真の吸収量と内因性糞中排泄がほぼ等しいことが示された。
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