研究課題
基盤研究(C)
チーズの生産量は年々増加し、その副産物であるホエーの有効利用は重要な課題になっている。ホエーからホエータンパク質分離物(WPI)が製造され、食品加工素材として利用されているが、更なる用途拡大のため、高付加価値化が望まれている。本研究では、メイラード反応を利用してWPIにマルトペンタオース(MP)を結合させた後、リン酸塩存在下での乾燥加熱によりリン酸化することにより、WPIの高機能化・多機能化を目指した。そのために、WPIと迎を重量比1:0.3、pH8.0で溶解(2%WPI濃度)し、凍結乾燥後、50℃、相対湿度65%で3日間乾燥加熱し、メイラード反応によってMP-WPI複合体を調製した。次に、このMP-WPI複合体を0.1Mピロリン酸緩衝液(pH4.0)に2%濃度(WPIとして)で溶解し、凍結乾燥後、85℃、1〜5日間乾燥加熱して糖リン酸化WPIを調製した。得られたリン酸化MP-WPIのリン含量は1.05%になった。糖リン酸化によるWPIの中性pH域での溶解度の減少は認められなかったが、pH4.0における溶解度はやや減少した。リン酸化WPIの電気泳動を行ったところ、構成タンパク質の移動度の増大が認められ、リン酸化によるマイナスチャージの増大が確認された。また、ゲル濾過モードHPLCの結果から、リン酸化によるタンパク質の重合や分子性状の変化が認められた。加熱処理後の試料溶液の可溶性タンパク質量から熱安定性を評価したところ、糖リン酸化WPIをpH7.0、90℃で10分間加熱してもほとんど不溶化せず、糖リン酸化によってWPIの熱安定性が著しく向上することが明らかになった。糖リン酸化によりリン酸カルシウムの可溶化能が付与され、糖リン酸化WPIはカルシウム吸収促進作用を有することが示唆された。WPIの構成成分であるβ-ラクトグロブリンおよび牛血清アルブミンもWPIと同様に糖リン酸化され、糖リン酸化による構造変化も小さいことが分った。また、糖リン酸化により、β-ラクトグロブリンおよび牛血清アルブミンの抗原性が減少した。
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