研究概要 |
【目的】本研究では、PGF2αを投与し黄体退行を誘導したウシにおいて、血中プロジェステロン(P4)濃度、一酸化窒素(NO)濃度および酸素分圧(pO2)を経時的に調べた。【方法】Day9(排卵日:Day0)の雌ウシの卵巣静脈(OV)、頚静脈(JV)および腹大動脈(AA)にカテーテルを装着した。Day10に、PGF2α(n=6)または生理食塩水(n=4)を投与し、経時的に血液を採取した(投与2時間前、1時間前、投与直後(0)、投与後0.25,0.5,1,2,4,6,8,10,12時間)。採取した血液中のP4濃度をEIA、NO2/NO3(NO代謝物)濃度をGriess法により測定するとともに、血中酸素分圧(pO2)を測定した。 【結果】PGF2α投与によりOVにおける血中P4濃度は2時間以内に減少した。このP4濃度の減少は、OV、JVおよびAAにおけるNO濃度の上昇に先行していた。OVにおけるpO2は、JVのpO2よりも高かった。また、OVにおけるpO2はPGF2αの投与により、投与後0.25-4時間において有意に上昇した。卵巣静脈において、pO2が頸静脈より高いこと。PGF2αの投与によってpO2とNOが急激に上昇する、黄体の機能的な退行においてP4分泌の減少に酸素の関与することを示唆した。
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