研究概要 |
1.ハムスター精子の顕微受精(ICSI)において,(1)アルブミン無添加HECM-9培地では,桑実期で発生停止するが,ヒト血清アルブミン(0.5mg/ml)添加によって胚盤胞(36%)に発生した。(2)ヒト組み換え型アルブミンの添加は,ヒト血清アルブミンと同様に胚盤胞(26%)に発生した。(3)ヘモグロビン添加によって胚盤胞率は改善しなかった。(4)0.5mMグルコース添加によって胚発生率に影響はないが,胚移植後の着床率は有意に高くなった。しかし,胎仔率は増加しなかった。2.ハムスター円形精子細胞の顕微受精(ROSI)において,(1)活性化処理の有無に関わらず,正常受精率(54%vs.60%),胚盤胞率(14%vs.1396)に有意な差はなかったが,活性化無処理区の胚移植による産子率(3%)と比べ,活性化処理区の産仔率(22%)は有意に高くなった。(2)凍結保存した円形精子細胞と新鮮円形精子細胞の顕微受精による胚発生率は同様であった。(3)ICSIとROSIににおけるミトコンドリアの動態は,前核期胚では前核周囲を取り囲むように,2細胞期胚では核周囲を取り囲むように集合しており,体内受精胚と同様であった。3.ネコ卵胞卵の体外成熟と顕微受精において,(1)卵胞卵のA,B,Cランクにおける成熟率はAランクが最も高かった(94%)。(2)ネコ体外成熟卵の精巣上体尾部精子の顕微受精において,約17-25%が胚盤胞に発生した。(3)ネコ体外成熟卵の円形精子の顕微受精においては,活性化処理なしでは胚盤胞に発生せず,2回の5μMイオノマイシン5分間処理と1.9mM 6-ディメチルアミノプリン3時間培養の複合活性化処理によって28%が胚盤胞に発生した。
|