研究概要 |
本研究は、低Ca血症に対する新しい予防法の確立を目的として、1,25(OH)_2D_3に着目し、膣粘膜あるいは尾根部皮膚に1,25(OH)_2D_3を滴下し、1,25(OH)_2D_3の吸収動態と血中Ca濃度の推移を調べた。その結果、以下の知見が得られた。 1.妊娠末期牛の膣内への1,25-dihydroxyvitamin D_3投与実験 妊娠末期牛を用いて、その膣内に0.125μg/kg BWの1,25(OH)_2D_3を1回投与し検討した。その結果、血漿1,25(OH)_2D_3は投与後2時間に、血漿Ca, iPは投与後12時間にそれぞれ有意に上昇した。 2.若齢牛の尾根部皮膚への1,25-dihydroxyvitamin D_3滴下実験 ジャージー種育成牛5頭を用いて1.0μg/kg BWの1,25(OH)_2D_3を尾根部皮膚に滴下した結果、(1)血中1,25(OH)_2D_3濃度は滴下後2〜24hrまで有意に上昇した。(2)血中Ca濃度は滴下後6〜48hrまで有意に上昇した。(3)血中IP濃度は滴下後24〜120hrまで有意に上昇した。これらの結果、1,25(OH)_2D_3の皮膚滴下によって、明瞭な皮膚吸収効果のあることを明らかにした。 以上、乳牛の低Ca血症の予防法において皮膚への貼付製剤などを利用することによって簡易かつ迅速に1,25(OH)_2D_3を投与できることを本試験は示唆できた。現在、子牛に3M社の貼付製剤を貼付し1,25(OH)_2D_3の吸収効果を試験中である。
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