研究概要 |
農水産業及びその加工業において排出される非可食部(組織)には,タンパク質や核酸類,あるいは脂質等の有用生理活性物質が含有されるものの,同時にカドミウムをはじめとする多種多量の有害重金属も存在するため,飼肥料などへの転換が困難であった.これを踏まえて,微生物を利用するこれら組織からの脱重金属について検討した.すなわち廃棄組織抽出液を栄養源として高タンパク質分解活性を有する土壌微生物を培養し,次いでこれに硫酸還元菌を接種して培養したところ,抽出液中に溶存する有害重金属,特にカドミウムが硫化物として沈殿した.組織中では重金属タンパク質と結合して存在するカドミウム等の重金属が,タンパク質分解活性をもつ土壌微生物群によって遊離イオンとなり,これと硫酸還元菌が生成する硫化水素とによって硫化重金属沈殿が形成され,結果的に反応系から重金属が除去される機構が推定された.
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