配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 270千円)
2007年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
研究概要 |
一般に環境会計の目的は,ステークホルダーに集計範囲の経済活動と環境の相互関係を会計情報として明示することにある。これまで環境勘定・会計は,経済活動量を貨幣単位で示し,経済活動から生じる環境負荷を物量単位で計測することで,単位経済活動量当たりの環境負荷や,経済活動量の成長と環境負荷の削減をデカップリング指標等による経済活動の環境効率性として評価し,効率性の改善必要性を訴えてきた。本研究では,北海道を対象地域として,環境効率性の実現を経済全体および地域農林業の面から評価してきた。また,農林業が生み出す環境便益についても評価対象としてきた。その結果,地域全体的には資源循環を向上させ持続可能な方向へと向かっていることが明示された。しかし,そのために必要としたエネルギー等が増大する傾向が示され,環境効率性の改善必要性は未だ高いことが判明した。さらに,このエネルギー問題に対応してバイオマス資源のエネルギー利用が近年注目されているが,本研究で分析事例として取り上げた規格外小麦利用のバイオエタノールでは,環境負荷削減には小麦の栽培形態や生産過程から発生する副産物等の有効利用を行う必要があること等がLCA分析の援用により明らかとなった。また,本研究では分析にエコロジカル・フットプリントを利用したが,地域の環境収容力を超えた資源利用状況も明らかになった。このことを受けて,マクロ・メゾ環境勘定では,経済規模の限界を明示し,その制約下における経済運営の必要性をより明示的な情報として示すフレームワークが必要との認識に至った。一方,農業におけるミクロ環境会計には課題が多いことも明らかとなった。最大の障害は,農家自体への負担である。これを回避するためには,営農を支援する農業協同組合などの外部団体が,システムを整備し,個別農家に代わって情報を収集整理し,営農指導に活かすことが必要と考えられる。
|