研究課題/領域番号 |
17580296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用分子細胞生物学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
三浦 豊 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助教授 (10219595)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 酸化ストレス / 浸潤 / マイクロドメイン / 肝細胞増殖因子 / 細胞遊走 / インテグリン / 癌転移 / c-met / 細胞膜マイクロドメイン / ガングリオシド / テトラスパニン |
研究概要 |
ラット肝癌細胞AH109Aをモデル癌細胞として酸化ストレスによる癌細胞浸潤促進への細胞膜マイクロドメインの関与を解析した。すでにAH109Aの浸潤が酸化ストレスにより促進することおよびその促進には肝細胞増殖因子(HGF)とHGF受容体であるc-metのオートクライン経路が関与していることを見出していたが、低酸素培養の影響を解析したところHGFの遺伝子発現の変化を伴わない浸潤能低下が観察された。そこで細胞膜マイクロドメインの構造変化が関与している可能性を検討するため、AH109Aの細胞膜上に存在する浸潤関連因子の発現を確認したところ、c-met以外にインテグリンα2、α5、α6、β1が発現していることが明らかとなった。またメチルβサイクロデキストリンによりマイクロドメイン構造を撹乱することで浸潤能が変化することを明らかにした。そこで酸化ストレスのうち特に低酸素ストレスについてさらに詳細な解析を行い、低酸素培養による浸潤能低下には、癌細胞の正常細胞層への接着能やHGF分泌量の変化は関与していないこと、さらに低酸素培養時にはc-metの発現量に変化がないことを確認した。HGFは細胞増殖、細胞遊走、創傷治癒など多くの過程に関与する多機能因子であるが、HGFがどの作用を示すかは受容体であるc-metが細胞膜上で複合体を形成しているパートナーにより決定されているという証拠が近年得られつつあり、HGFが細胞遊走促進因子として作用するためにはc-metがインテグリンと複合体を形成している必要があるとの報告が行われている。本研究の結果からも酸化ストレスにより浸潤能が変化する際には、c-metの量的変化ではなく、質的変化が重要である可能性が示唆されており、今後酸化ストレス負荷時のc-metとインテグリンの複合体形成能の変化について詳細な検討を加えていく必要があると考えている。
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