研究課題
基盤研究(C)
アルツハイマー病(AD)の患者の病理学的な特徴は、アミロイドβペプチド(Aβ)を主成分とする老人斑の蓄積であることが知られている。さらに、近年の家族性アルツハイマー病(FAD)患者の遺伝・分子生物学研究からもA口はAD発症原因として認識されている。この邸は、前駆体膜タンパク(APP)に対するβおよびγセクレターゼと呼ばれる2段階のプロテアーゼ作用により生成されることが知られている。我々は、特に後半の切断を担うγセクレターゼの強力な阻害剤と切断機構の解明がADの有効な治療ターゲットにつながると考え、その探索と機能解明研究を行なっている。我々は、Elan社のDAprの構造活性相関によりC末端のベンゾフェノンアミド誘導体が1の約30倍強力な活性を有していることを見いだしフォトアフィエティプローブへの展開を行った。我々は、最終段階に精製の操作を必要としない固相合成戦略により、DAPTをリガンドとするフォトアフィニティプローブ5種類を合成した。本フォトアフィニティラベリングでは、光反応性基のベンゾフェノンとジアジリジンではラベル化能に大きな違いがみられなかったが、疎水性、親水性のリンカーの比較では疎水性のプローブの方がラベル化の効率高かった。また、ジスルフィド結合を有するプローブのラベル化の効率は低く、さらに阻害活性を有していないととも明らかとなった。また、他の阻害剤との競合実験の結果から、DAPT(1)は、γ-セクレターゼの触媒部位と基質結合部位と異なる部分と結合し阻害活性を発現していることも明らかとなった。
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