研究概要 |
1)低線量β線照射による肝臓中でのフリーラジカル生成をEPRを用いて評価した。β線照射のラット肝臓からの胆汁の方が、ニトロキシルスピンプローブのシグナルの減衰は、照射しないラットのそれよりも速かった。in vitro実験と組み合わせて組織の酸素濃度が高いときには、ヒドロキシルアミンの過酸化水素由来の酸化が優先することが示された。 2)胆汁脂質の主要な成分である胆汁酸、リン脂質、コレステロールにはSe欠乏群とコントロール群での違いは認められなかった。活性酸素種を補足するために、コントロール群と比べると胆汁と血漿中のビリルビン濃度が、Se欠乏群で減少した。ビリルビン濃度測定は補助的な酸化ストレスマーカーとしての可能性が示唆することができた。 3)マルチトレーサー(MT)法を用いてSe, Sr, As, Mn, Co, V, Fe, and Znの胆汁排泄を比較検討した。Mn, AsはSe濃度に依存して胆汁排泄が大きくなった。V, CoはSe濃度により幾分、大きくなるがSeの効果は少なかった。放射性のFe-59, Zn-65は投与後少なくとも2時間以内は検出されなかった。Se欠乏と体内で産生されるグルタチオン(GSH)量、GSHに依存する金属イオンの錯形成、メチル化、またメタロチオネインなどと関連づけて各微量元素の胆汁排泄を説明することができた。 4)Se欠乏としてはその程度の低いけれど、その期間を長期に継続するとこにより肝臓中のGSH-Px活性、GSH濃度、SOD活性、TBARS量、過酸化水素濃度の週齢に伴う酸化ストレスの変化を評価した。 5)セレン欠乏ラットの肝臓、腎臓、脾臓中のSe, Fe, Zn量を8週間にわたり放射化分析法により分析した。その結果をラット血漿中のaspatate aminotransferase(AST), alanie aminotransferase(ALT), blood urea nitrogen(BUN)など生化学的データと比較しSe-欠乏に由来する酸化ストレスを評価した。
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