研究概要 |
3,5-O-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン-1,3-ジイル)-4-チオフラノイドグリカール(1)をN-ヨードコハク酸イミドの存在下、シリル化したチミンと反応させることにより4'-チオチミジン誘導体(2)のβ-アノマーを得た。グリコシル化成績体2はラジカル還元および脱シリル化により、4'-チオチミジン(3)へ変換した。化合物3の一級水酸基のヨウ素化、3'位のアセチル化、DBNによる脱ヨウ化水素酸および保護基の変換により、3'-O-TBDMS-4',5'-不飽和4'-チオチミジン誘導体(4)を合成した。化合物4は、四酢酸鉛によるジアセトキシレーションにより、4'-アセトキシ体(5)へ変換した。鍵中間体5は、ルイス酸の存在下、シリコン試剤との反応により、4'-α-フェニルチオー(6)、4'-α-アジドー(7)、4'-α-メトキシー(8)、4'-α-C-aアリルー(9)、4'-α-C-シアノー(10)および4'-α-C-エチニルー4'-チオチミジン(11)へ変換することができた。 3,5-O-(ジートブチルシリレン)-4-チオフラノイドグリカール(12)をm-CPBAで酸化することにより、対応する3オキシド(13)を得た。化合物13をAc20/TMSOAc/BF30Et2と室温下反応させたところ、"additive Pummerer"反応が進行し、1,2-ジ-O-アセチル-3,5-O-(ジートブチルシリレン)-4-チオリボフラノース(14)を選択的に得ることができた。チオ糖供与体14をシリル化したウラシルとTMSOTfの存在下、反応させたところ4'-チオウリジン誘導体(15)のβ-アノマーを高い選択性で得ることができた。この結果は、チオグリコシル化反応においてアセチル基の隣接基関与が有効に働いた最初の例となった。このグリコシル化反応の適用範囲を調べる目的で、シリル化したチミンおよびシトシンとのグリコシル化を行ったところ、4'-チオチミジン(16)および4'-チオシチジン誘導体(17)のβ-アノマーを選択的に得ることができた。また、6-クロロプリンおよび2-アミノー6-クロロプリンとのグリコシル化では、目的とするグリコシル化成績体の位置異性体であるN^7-置換体の副生が認められ、目的1物の単離収率の低下が認められたが、高い立体選択性で対応するβ-アノマー(18)を得ることができた。
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