研究課題/領域番号 |
17590138
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療系薬学
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
岡 淳一郎 東京理科大学, 薬学部, 教授 (40134613)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | GLP-1 / ミクログリア / アストロサイト / IL-1β / GLT-1 / 炎症 / 興奮毒性 / 神経変性疾患 / アストログリア / cAMP / CREB / 認知症 |
研究概要 |
アルツハイマー病等の神経変性疾患ではグリア細胞の誘導・増加が報告され、産生するサイトカイン等による炎症症状が疾患の初期過程に重要な役割を果たしていることが示唆されている。本研究では、18日目のラット胎児から単離・培養した大脳皮質グリア細胞(ミクログリアとアストロサイト)及び海馬神経細胞を用いて、GLP-1の作用と細胞内作用機序について検討した。 GLP-1受容体は神経細胞とグリア細胞の両方に存在し、神経細胞以外では活性型ミクログリアでGLP-1産生が多く行われること、GLP-1はミクログリアを静止型から活性型に移行させることを見出した。炎症症状を実験的に誘発させるlipopolysaccharideでアストロサイトを処理すると、炎症性サイトカインIL-1βのmRNA発現が誘導され、GLP-1はcAMP濃度上昇及びCREBリン酸化を介してこれを抑制した。この結果より、外来性あるいは内在性GLP-1がミクログリアを活性化し、その結果大量に産生・放出された内在性GLP-1が、GLP-1受容体発現の多いアストロサイトで炎症性サイトカイン産生を抑制し、神経変性疾患の初期炎症過程を抑制あるいは改善させる可能性が示された。 さらにGLP-1は、アストロサイトで神経栄養因子NT-3、グルタミン酸トランスポーターGLT-1 mRNA発現を増加させた。興奮性神経伝達物質グルタミン酸は、過剰では興奮毒性を示して神経変性疾患における神経細胞死の原因となる。したがって、GLP-1がGLT-1による余剰グルタミン酸の除去を介して、神経伝達及び興奮毒性にも影響を与えている可能性が考えられる。 以上より、GLP-1がアストロサイトでの炎症性サイトカイン産生抑制とともに、グルタミン酸トランスポーターGLT-1発現増加を介して神経保護作用を示すことが考えられ、新規神経変性疾患治療薬となることが期待できる。
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