研究課題/領域番号 |
17590143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩永 ひろみ 北海道大学, 大学院医学研究科, 助教授 (30193759)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 機械受容器 / 洞毛 / 終末シュワン細胞 / グリア / カルシウム画像化 / 感覚神経終末 / アデノシン5'-三燐酸 / ラット / 知覚神経終末 / アデノシン5'-三リン酸 / ecto-ATPase / 機械刺激 |
研究概要 |
刺激で誘発される細胞内Ca^<2+>濃度上昇は、細胞網工や上皮シートを波として伝わり、細胞活動を協調させることが広く知られる。知覚終末グリア細胞は分岐する突起で結合し、軸索終末間を連絡する網をなす。このグリア網におけるCaa^<2+>信号の生成・伝播機構を詳細にする目的で、毛の動き受容器、槍型終末をラット頬ひげ毛包からコラゲナーゼ分離し、微小ガラス針で触れて信号系を局所的に賦活したときの細胞応答を、共焦点顕微鏡のコマ落とし画像で解析した。また、グリア細胞間のギャップ結合を蛍光退色回復試験と透過電顕観察によってしらべた。槍型終末の一つを機械刺激するとまもなく、それを包むグリア突起のCaa^<2+>濃度が単峰性に上昇し、続いて、周辺の2-5本の知覚終末で、伴行グリア突起のCaa^<2+>濃度が上昇した。この二次的信号には、各突起内の生成焦点に始まり細胞体に向かって進むものと、突起の光学的切片の遠位端から入って先端に向かうものが区別された。前者は刺激点付近の槍型終末の間に素早く広がり、応答グリア細胞の中には、機械刺激を受けた細胞との物理的接触を欠くものが含まれていた。一方、後者の信号は比較的長い潜時の後、はじめに刺激された細胞の突起に限って出現し、時に、それと隣接するグリア突起に伝播した。プリン受容体遮断剤suraminは、前者の細胞間信号伝播だけを特異的に阻害した。蛍光退色回復試験と透過電顕観察は、隣接グリア突起の細胞質がギャップ結合チャネルを介して連絡することを示した。これらの結果から、知覚終末では、細胞外アデノシン三燐酸のプリン受容体への結合によって惹き起こされるグリア信号と、ある種の細胞内信号物質のギャップ結合を介した細胞間移動に基づくグリア信号が、それぞれ独自の空間的広がりと時間経過で伝播し、感覚装置を構成する軸索終末間に2つの異なる連絡様式を提供すると考えられる。
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