研究課題
基盤研究(C)
脊椎動物中枢神経系のグルタミン酸作動性の興奮性シナプスの後部には樹状突起棘突起(dendritic spine)が見られ、その膜裏打ち部分の著しく分子が集積した構造はシナプス後肥厚部(PSD)と呼ばれる。PSD足場タンパク質(PSD Scaffolding Proteins)は、膜の受容体とシナプスのシグナル分子とを繋ぐ機能を持ち、かつそのPSDの含有量はダイナミックに変化して、シナプスの可塑的機能変化の基盤になっていると考えられている。これらPSD足場タンパク質のダイナミクスの制御様式について検討した。CortactinはF-アクチン関連タンパク質であり、シナプス後部足場タンパク質のShankと結合して樹状突起のspine中に局在する。海馬神経分散培養細胞にEGFP融合型cortactin遺伝子を発現させたところ、その局在はBDNF刺激により樹状突起の細胞質中からシナプス後部に移動集積した。逆に、NMDA型グルタミン酸受容体刺激によりシナプス後部に集積していたcortactinが消失した。これら一連の実験結果から、シナプス形成時や可塑的変化において、BDNFとNMDA受容体刺激のバランスは重要であると考えられた。PSD足場タンパク質のPSD-95、GKAP、Shank、PSD-Zip45(Homer)をそれぞれGFP関連蛍光タンパク質で標識して、そのspine内での挙動をFRAP(Fluorescence recovery after photobleaching)法にて調べ、PSD-95のみが特に安定であることが明らかになった。また、アクチン線維を薬理学的に破壊すると、他の3種の足場タンパク質のダイナミックな挙動は抑制された。さらに、GKAPのspine内含量は神経刺激により増加したのに対して、ShankとPSD-Zip45は減少し、これらの挙動はアクチン依存的であることが示された。これらの結果から、アクチン線維骨格系が多くのPSDタンパク質のダイナミクスに重要な働きをしていると結論された。
すべて 2006 2005
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