研究概要 |
KHNEICC発光遺伝子導入Tgマウスの子孫に尿細管特異的にHcRed1が発現するか、podocyte特異的にEGFPが発現するかを、腎臓での青色、緑色、赤色発光を、解析した。糸球体及び尿細管はCAG promoterの制御下、ECFPを発現するが、Ksp-cad promoter制御下のHcRed1の発現は尿細管に限定されたようである。また、nephrin promoter制御下のEGFPの発現は、podocyteに限定されている。しかし、遺伝子発現の詳細な解析を行ったところHcRed1の発現は認められなかった。KHNEICCプラスミッドの塩基配列調査ではKsp-cad promoter領域とHcRed1の接続部分に新たな翻訳開始コドンが出来ていて、さらにinsulatorとCAG promoterの間に大きな挿入がある事が発見された。放射線照射後immunotoxin注射によるpodocyte障害モデルTgマウスにKHNEICC Tgマウスの骨髄細胞を移植し、2,4,6,8週後にrecipientマウスの腎臓を採取し、蛍光顕微鏡学的、組織学的(H-E染色、PAS染色)にて観察した。移植後4週目には、骨髄細胞移植による腎障害の組織学的な改善は観られたものの、蛍光顕微鏡下では糸球体内には発光細胞が認められなかった。自家発光と見られる発光細胞が尿細管に数多くあった。EGFPの波長はECFPの波長に近いため蛍光顕微鏡学的にその二つの発光は区別しにくい。波長の離れた発光遺伝子を組直し、骨髄細胞に導入して同様の解析、および移植実験を行った。B6C3F1マウスから骨髄細胞を採取し、間葉系幹細胞を選択的に培養した。それら間葉系幹細胞にEGFP由来の緑色発光(CAG promoterにより制御)遺伝子とDsRed2由来の赤色発光(Ksp-cadherin promoterにより制御)遺伝子をElectroporation法にて共遺伝子導入した。遺伝子導入後EGFP発光を蛍光顕微鏡、免疫染色などで確認した後Cisplatin投与による急性腎不全マウスに移植した。移植後2,4,6,8週後にrecipientマウスの腎臓を採取し、蛍光顕微鏡学的、組織学的、免疫学的解析を行った。移植後2週目には、尿細管にEGFPあるいはKsp-cadherinとDsRed2、両方染まった細胞が観察され、移植後4週目以後には両方染まった細胞数が徐々に増加する傾向が見られた。しかし、自家発光や抗体の交差反応の可能性は除外できず、In situ hybridizationや遺伝子学的解析を行っている。
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