研究概要 |
1.ウレタン麻酔自発呼吸下家兎の縫線核において,交感神経プレモーターニューロンの活動を細胞外誘導的に記録した。視索前野/前視床下部(PO/AH)に刺入した熱極を通して温熱刺激を与え,これに対する記録ニューロンの応答を観察した。その結果,PO/AH冷刺激によって活動性が増加し,温刺激によって低下するニューロンと,反対に冷刺激によって活動性が減弱し,温刺激によって増加するニューロンの両者の存在を確認した。前者は耳介皮膚など熱放散器官の血管収縮線維を支配している可能性が,また後者は温熱刺激に対して体表部と拮抗的な反応を示す深部臓器の血管などを支配している可能性が考えられた。さらに,一部のニューロンは,心周期あるいは呼吸周期にも同期した活動性の変化を示した。このことは,温熱情報と圧受容器あるいは呼吸中枢からの情報が縫線核の交感神経プレモーターニューロンのレベルで収束していることを示唆するものであった。 2.振幅が小さく,また複数のニューロンからの信号が重畳することの多い延髄での神経活動記録では,スパイクカウンターの閾値設定のみで単一ユニットを選別することは困難なことが多い。そこで,記録された波形の複数の特徴(例えば,波形の山や谷の大きさ,その時間差や傾きなど)を計測し,これに基づいて,ユニットをリアルタイムでソートするソフトウェアを開発した。さらに,ソート状況を散布図で表示するだけでなく,ソート平面上の2次元ヒストグラムとして立体的に表示する機能も追加した。これによって,記録中の信号が単一のユニット活動であるか否かを高精度に判断できるようになるとともに,複数のユニットの反応を同時に記録して比較することも可能となった。
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