研究概要 |
1.小型気圧調節装置を用いて緩徐に気圧変動量・スピードを変化させながら坐骨神経絞扼(CCI)および脊髄神経結紮(SNL)モデルラットの疼痛行動増悪をおこす気圧変動閾値を調べた。SNLラットでは5-86hPa/hで5-20hPa減圧した場合、CCIラットでは10hPa/h以上の速さで10hPa以上の減圧下で疼痛増強がみられた。よって,疼痛行動増強には閾値となる一定の気圧低下量・速度があることがわかった。SNLモルモットにおいても27hPaの気圧低下で同様の疼痛増強効果が観察された. 2.CCIラットから無麻酔・無拘束時の血圧・心拍数を連続記録した。血圧・心拍数ともに,術後早期(1〜7日目)には,術前値に比べ明らかに増加(交感神経優位)したが,その後は低下し,術後15〜19日目には逆に低値を示すようになった(副交感神経優位)。術後4,7,11,15,19日目に27hPaの気圧低下または15℃への7℃寒冷に暴露したところ,どの実験日においても術前日に見られた効果と同程度の血圧・心拍数の増加がみられた。よって,慢性痛モデルには術後経過によって基礎の自律神経活動には交感神経優位→副交感神経優位への変化がみられるが,環境ストレスに対する反応性には違いがないことが分かった。 3.除脳ラットを作製して血圧・心拍数と腰部交感神経活動を連続記録し,種々の筋弛緩薬を用いてその影響を調べたところ,ガラミン投与時のみにおいて,血圧・心拍数・腰部交感神経活動すべてが気圧低下環境で増加することがわかった。 4.麻酔下のラットの前庭神経核にガラス電極を挿入し,気圧低下に反応性を示す神経核細胞を探索した.これまで記録した30ユニットのうち,7ユニットが27hPaの気圧低下に明らかな反応性を示した。
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