配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
プロスタグランジンとトロンボキサンより成るプロスタノイドは、アラキドン酸よりシクロオキシゲナーゼによって変換され、生体内で多彩な作用を発揮する。これらの作用は、標的細胞上に発現しているそれぞれに特異的な受容体(DP,EP.FP,IP,TP)を介してなされる。また、EPにはさらに4つのサブタイプ(EP_1,EP_2,EP_3,EP_4)が存在する。PGE_2は、心臓の虚血-再灌流時に産生される。我々は、PGE_2受容体であるEP_1,EP_2,EP_3をそれぞれ欠損したマウスを用いて心臓の虚血-再灌流障害におけるPGE_2の役割について解析を行った。各マウスに対し、心臓の左冠動脈前下行枝の結紮を一定時間行い、その後再灌流を行った。その結果、EP_3欠損マウスにおいて、心臓の梗塞サイズが、野生型マウスに比較して有意に増大した。一方、EP_1,EP_2欠損マウスについては、野生型との違いを認められなかった。さらにPGE_2の作用が心臓に対する直接作用なのか間接作用なのか明らかにするために摘出灌流心を用いた解析を行った。心臓を摘出し、ランゲンドルフ式に灌流した後、一定時間灌流液を途絶し、その後再灌流を行った。結果、野生型マウス心臓と比較して、EP_3欠損マウス心臓において、再灌流後のdeveloped pressureは有意に低値を示し、心臓からの逸脱酵素であるクレアチンキナーゼの遊出量は有意に高かった。これらの結果は、虚血-再灌流時に産生される内因性PGE_2は、EP_3を介して直接的に心臓保護作用を発揮していることを示している。さらに選択的EP_3アゴニストを心筋梗塞モデル動物へ投与したところ、コントロール群に比較して心臓の梗塞サイズが低下した。これらの結果は、EP_3アゴニストの心筋梗塞治療薬としての可能性を示している。
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