研究課題
基盤研究(C)
生体内新規ガス状メッセンジャーとして機能する可能性が示唆されている硫化水素の疼痛情報伝達制御における役割を検討し、以下の知見を得た。1)硫化水素およびL-システインの投与による痛覚過敏についてNaHSをラットの足底内投与することにより、機械的痛覚過敏が誘起されることを見出し、この効果の発現にはT型カルシウムチャネルが関与することを証明した。また、硫化水素の生体内originであるL-システインを足底内投与した場合にも痛覚過敏が認められ、これはL-システインからCSEによって産生される硫化水素によるものであるとの示唆が得られた。一方、NaHSの足底内投与によって、脊髄後角侵害受容ニューロンの活性化が起こることをFos蛋白の発現を指標として証明した。一方、ラットの脊髄内へNaHSを投与した場合にも痛覚過敏の発現を認めている。2)NG108-15細胞およびマウス脊髄DRGニューロンにおけるT型カルシウムチャネル電流の硫化水素による増強 Whole cell patch clamp法により、NG108-15細胞およびマウス脊髄DRGニューロンにおけるバリウム電流を指標としてT型カルシウムチャネルを介する膜電流が硫化水素によって促進されることを証明した。3)硫化水素のマウス結腸内投与による内臓痛発現についてマウスの結腸内へNaHSを投与することにより内臓痛および関連痛覚過敏が発現するとともに、脊髄後角ではERKリン酸化が誘起されることを証明した。以上、本研究により、生体内の硫化水素は、痛みの情報伝達における新たなメッセンジャーとして機能していることが明らかとなった。
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