研究課題
基盤研究(C)
1)E2Aによるクロマチン構造変化に関わる因子の解析遺伝子導入効率の高いBOSC23細胞にE2AとRAG1/2を共発現させると、内在性の抗体遺伝子の転写と組み換えを誘導することができた。その際、E2Aが組み換えの標的部位に結合し、ピストンH3、H4のアセチル化を上昇させることを見出した。ヒストンアセチル化酵素の中でp300/CBPが特異的にE2Aによって動員されたことから、それらをE2Aと共に過剰発現させたところヒストンアセチル化がさらに上昇し、転写と組み換えが増強された。逆にsiRNAによって内在性のp300/cBPを低下させると、E2Aによるヒストンアセチル化が低下し、転写と組み換えも低下した。これらの結果から、E2Aはp300/CBPを組み換え部位に動員し、ヒストンアセチル化の上昇を介してクロマチンを開くことにより組み換えを誘導することがわかった。2)対立遺伝子排除の核内分子機構と生物学的意義の解析対立遺伝子排除は、機能的な組み換えが片方の染色体に限って起こる現象で、1つのリンパ球が単一の抗原に反応するために重要な機構である。その分子機構としては、機能的な組み換えによって発現される抗原受容体から、更なる組み換えを停止させる抑制シグナルが入ることが考えられているがその標的などは明らかではない。我々は、E2A欠損マウスにおいてE2Aの量依存的にT細胞受容体(TCR)β遺伝子の転写とヒストンアセチル化が低下し、組み換えが阻害されることを見出した。実際にE2Aは、TCRβ遺伝子においても組み換え部位にCBPを伴って結合し、ヒストンアセチル化の上昇を介してRAGを動員する一方、抑制シグナルが入るとE2Aの抑制因子であるId3が誘導され、E2AやCBPの結合が低下し、ヒストンアセチル化とRAGの動員も低下した。そこで抑制シグナルによつて組み換えが停止した細胞にE2Aを過剰発現させたところ、組み換えが誘導され対立遺伝子排除が破綻したことから、抑制シグナルはE2Aを標的として組み換えを停止させることがわかった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
J. Immunol. 177
ページ: 7858-7867