研究課題
基盤研究(C)
エチルニトロソウレア(ENU)で変異を導入したメダカ5720個体から、特定遺伝子座における一塩基変異を検出するために、LICOR社の変異検出システムを検討した。しかし、特定の領域のゲノムPCR→ヘテロデュプレックスの形成→ミスマッチ切断酵素によるPCR産物の切断、というTILLINGのスキームによる変異スクリーニングでは、手間がかかるうえに、偽陽性、偽陰性とも多く、非効率的であった。そこで、個々のPCR産物をシークエンスした後、Phred/Phrapでベースコールとアセンブリを行い、polyphredでヘテロ変異の検出を行う、ダイレクトシークエンス法に切り換えた。p53遺伝子座などで条件検討を行った結果、1サンプルあたりのコストは上がったものの、変異は効率よく検出されることがわかった。メダカChk1遺伝子のエキソン3-6はキナーゼドメインをコードしており、単一のPCRで増幅、解析することが可能であるため、ここをターゲットにした。変異導入メダカ1920個体を上記ダイレクトシークエンス法でスクリーニングした結果、SNPが3カ所に、ENU変異が9カ所に見られた。ENU変異の内訳は、イントロンの変異が6つ、アミノ酸置換を伴わないサイレントな変異が2つで、アミノ酸置換を伴う変異は64番目のHisがGlnに変わるもの唯一つしかなかった。残念ながら、ナンセンス変異、スプライス部位の変異、活性中心のアミノ酸置換といった、明らかにChk1キナーゼの活性を損なうような変異は見つからなかった。今回スクリーニングした領域はエキソンが比較的まばらに存在する部位で、コーディング領域が433bpと全体の半分しかなく、これがイントロンの変異が多く見られた理由であると考えられる。
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Genome Biology 7(12)
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Genome Biol. 7