研究課題
基盤研究(C)
5代バッククロスを重ねて純系化したARPPノックアウト(KO)マウスを用いて以下の実験を遂行した。1)マウストレッドミル運動負荷試験ARPPKOマウスは、野生型マウスに比べて、持久的な運動維持能力が低下していることを確認した。2)マウス骨格筋の除神経によるARPP発現変化除神経3日後より10週にわたって骨格筋のARPP発現が誘導することを確認した。3)マウス尾部懸垂実験尾部懸垂による廃用性萎縮下肢骨格筋においてARPP発現の低下を認めた。4)マイクロアレイによるARPPKOマウス骨格筋の遺伝子発現変化の網羅的解析ARPP KOマウスでは、骨格筋特異的遺伝子のみならず、主に神経系に発現がみられる遺伝子群についてもその発現の増強や減弱が認められた。現在、KOマウスで発現変化のみられた個々の遺伝子について解析を検討中である5)骨格筋障害・再生過程におけるARPPの役割-in vivo-Cardiotoxinを下腿筋および前胸筋へ投与して筋障害を誘発した。障害4日後の筋組織内の壊死領域は、KOマウスでは野生型マウスに比べ、明らかに広かった。また、野生型マウスでは障害5日目までに壊死した筋線維が除去されていたのに対し、KOマウスでは再生筋線維の周囲に壊死筋線維が多数残っていた。野生型マウスの障害筋におけるAPRRの局在をみると、本来、細胞質のI-bandにあるARPPが核に移行していた。すでに、培養細胞を用いたin vitroの実験系で、ARPPが核に移行し転写調節因子として機能することが報告されており、この知見をin vivoで確認する結果となった。以上の結果からARPPは筋障害において、筋保護にはたらくタンパクの発現誘導に関与していることが示唆された。
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