研究課題
基盤研究(C)
平成17年度は、Th1メモリーマウスにOVAとIL-18を経鼻投与することで誘導されるTh1型気管支喘息の発症メカニズムの解明中心に、18年度は内因性IL-18によるTh1型気管支喘息モデルの作成と解析を中心に研究を進めた。1.実験システムの改善抗原特異的Th1細胞を正常マウスに移入(受動型Th1マウス)する実験系のかわりに正常マウスを抗原とフロイント完全アジュバント(CFA)で免疫しメモリーTh1(能動型Th1マウス)マウスを作製。抗原とIL-18の経鼻投与により(受動型Th1マウス)と能動型Th1マウスでも同様のTh1型気管支喘息を誘導することに成功した。2.メカニズムの解明Th1型気管支喘息の急性期の気道抵抗上昇にはIFN-Yと好中球が、慢性期の肺線維化にはIL-13と好酸球が主に関与していることを明らかにした。このIFN-γとIL-13は抗原とIL-18で刺激されたThl細胞から産生されるためIL-18を中和することでTh1型気管支喘息を完全に制御することができると予想した。この仮説の確認のため、病原体成分を経鼻投与し肺胞上皮細胞などからIL-18を産生させTh1型気管支喘息を誘導するシステムを構築しIL-18中和による治療効果を検討した(平成18年度)。3.内因性IL-18によるTh1喘息モデルの作成内因性のIL-18を誘導するための病原体成分として、その刺激により気道上皮細胞からIL-18を産生することを確認できたLPSを用いた。従来の実験モデルと同様にOVAとCFAで誘導した能動型Th1マウスにLPS単独またはLPSとOVAを経鼻投与したところ、LPSとOVAの両者を点鼻したマウスのみ気道抵抗の上昇がみられた。4.作成した喘息モデルの解析この喘息マウスのBALF中には、従来のTh1型喘息モデルと同様に好中球を中心とした細胞浸潤がみられた。LPSによって誘導された内因性のIL-18が喘息発症の要因であるかを確認するため、抗IL-18中和抗体でこの喘息が抑制可能かを検討した。その結果、気管支喘息は抗マウスIL-18中和抗体投与によって完全に抑制された。この動物実験モデルは上気道感染症によって誘発されるヒトの気管支喘息の動物モデルとなり得ると考えられた。また抗IL-18抗体が感染で増悪する非アレルギー性の喘息の治療方法のひとつになりえることが示唆された。
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