研究概要 |
平成16年度からすべての新卒医師に対し2年間の臨床研修が義務付けられ,この課程の中で約3か月間,地域保健・医療領域における研修カリキュラムが位置付けられた。ここでは,保健所や市町村保健センターで,地域保健領域の研修を受けることになる。地域保健領域ですべての新卒医師に研修機会があることは保健所・市町村保健センターの役割と連携を知ってもらう貴重な機会であり,十分な研修効果があがるように,受け入れ側である県型保健所と保健所設置市の両者も効果的な研修体制を整備し,研修を実施している。本調査では,限られた研修期間の中で,地域保健法のもとで地域保健サービスの提供体制が大きく異なる県型保健所と市保健所での研修の特徴を明らかにすることによって,それぞれの保健所での研修医にとって実りの多い研修プログラムのあり方および今後の課題について考察した。 本調査より,短期間で研修医に提供するプログラム企画の基本的考え方は次の事項である。 1.健康危機管理対応や地域保健サービス実施の機会があれば,最優先で対応現場を経験してもらうこと,地域で市民と話をする機会を持つこと。 2.法に基づく医師の届け出の意義とそれを受けての保健所での疫学調査と対策実施,集団および個を対象とした健康管理,医師会など関係機関との連携の重要性を知ること。 3.患者が在宅で生活していくには,医療機関と地域保健福祉機関との連携が必須であり,医療機関以外の社会資源の存在意義,患者の地域での在宅生活を支える保健福祉サービス体系,ネットワークについて知ること。
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