研究課題/領域番号 |
17590515
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
|
研究機関 | 独立行政法人労働安全衛生総合研究所(産業医学総合研究所) (2006) 高知大学 (2005) |
研究代表者 |
甲田 茂樹 独立行政法人労働安全衛生総合研究所(産業医学総合研究所), 有害性評価研究グループ, 上席研究員 (50205332)
|
研究分担者 |
原 邦夫 労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (40250047)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | 産業保健 / 粉塵曝露 / じん肺 / 鉄肺 |
研究概要 |
土佐打刃物に従事する事業所から協力の得られた26事業所を対象に、発塵が最も多い荒研ぎ作業における吸入性粉塵の曝露測定を実施し、併せて被研磨物の性状の違い、局所排気装置設置の有無、全体換気状況、職場の清掃状況、水容器の設置の有無を確認した。さらに、協力の得られた事業所より堆積粉塵等を採取してX線回折法による遊離珪酸の含有量や粉塵中の金属分析を行った。これらの結果に基づいて事業者に対して低コストの改善対策を提示し、改善対策がどの程度粉塵曝露を減少させることができるかについて検討した。その結果、(1)粉塵の成分分析の結果から、遊離珪酸の含有量は0.7-2.9%程度であり、酸化第二鉄は6.4-55%であった。塵肺健診で得られた重症者の所見では上肺野から下肺野にかけてサイズがpからqの粒状影が多数認められ、明らかに珪肺所見とは異なり、鉄肺であると診断した。しかも、ACGIHのTIVや日本産業衛生学会の許容濃度を下回る曝露濃度で重篤な鉄肺が発症していた。このことは、一般的に重症化しないと考えられている鉄肺でも曝露期間が長期化し、作業者の高齢化に伴う肺機能の低下などが関与した場合には重症化する事例もありうることを示唆しているものと推測できる。(2)職場における粉塵対策状況と粉塵曝露量との検討では、被研磨物の違い、局排の有無、清掃状況で有意に暴露量が低下し、線形重回帰分析の結果でも同様の結果が確認できた。(3)職場巡視を行うといくつかの事業場では独自の粉塵対策が実施されており、その中でも労働衛生学的に合理的な改善対策も散見された。従って、事業所に対してa.職場の清掃、b.効果的な局所排気装置の導入と保守点検、c.水を張った容器の活用、d.効果的な防塵マスクの着用を提案した。いくつかの事業所では提案した改善対策が取り入れられ、粉塵曝露量も低減するという効果をあげることができた。
|