研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は院内感染起因菌として重要な腸球菌における消毒剤耐性に関与する遺伝子を同定し、それら耐性菌の疫学的特長を明らかにすることである。研究対象として、1997年から2007年までに札幌医科大学附属病院において分離された約1100株および学外の病院で分離された117株を対象とした。腸球菌の多剤排出蛋白EfrA,EfrB,EmeA,QacHの各遺伝子の存在をPCRによって検出したところ、emeA,はE.faecalisのすべてに検出され、efrA/BはE.E.faecahs,E.faeciumの2菌種のみですべての株に検出された。qacHはいずれの菌種にも検出されなかった。efrA,efrBはABCトランスポーター型の多剤排出ポンプをコードするが、腸球菌E.faeciumの遺伝子解析により、このタイプの多剤排出ポンプ様蛋白は他に少なくとも他に4種類あること、また遺伝子データベースに登録されているE.faecahsの全ゲノム上には計80個以上あることが判明した。いずれの蛋白もABCトランスポーターに特徴的なモチーフを有していた。類似の遺伝子は同じEnterococcus属の他の菌種やCarnobacterium,Streptococcusのいくつかの属にもあることがわかり、一部のグラム陽性菌に広く分布しているものと考えられた。EfrA,EfrBはLactococcusにおいて知られるLmrAと同じグループに入るが、遺伝学的に近縁な遺伝子は今のところ他の菌種には見られておらず、種特異性が高いと考えられた。またマクロライド排出に関わるMsrCもABCトランスポーターであるが、EfrA,EfrBなどとは遺伝的に異なる群に属することがわかった。今後、多数存在する多剤排出蛋白の遺伝子の種類および数が、多剤耐性の発現に及ぼす影響について解析する必要があると考えられた。
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10027684464
Research Signpost.
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International Journal of Infectious Diseases 10(Supp1.1)
Microbial Drug Resistance 11
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