配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
メタボリックシンドローム(MetS)の中核である肥満対策は急務である.現在,MetSと遺伝子多型(SNPs)の関連研究は世界的に進行し,また患者教育の方法やその教育・予防医学の現場でのSNPsの活用は今日的課題である.本研究では,肥満やMetSの構成疾患とSNPsなどの関連調査と,行動科学やSNPsを考慮した生活習慣介入を行い,よりオーダーメイドな患者教育システムづくりの可能性を拓くことを目指した. 1)肥満やMetS構成疾患における関連SNPsの研究 肥満やMetSの構成疾患とSNPsとの関連解析を行い,断面調査では以下のような結果を得た.女性においてangiotensin II2型受容体の3123AC SNPのCC型群は非CC型群に比べて体格指数が有意に高かった.また,同じくCC型群は,非CC型群に比べてHbAlcが有意に高かった.uncoupling protein-1(UCP1)-3826AG SNPについて,GG型群では男性においてHDLコレステロールが高値で,女性の同型群で低HDLコレステロール血症の保有が低頻度であった.また,同じくGG型では,男性群あるいは男女を合わせた60歳以上の群において高血圧の保有が高かった.次いで,減量介入による調査で以下の結果を得た.β_3アドレナリン受容体(β_3AR)Trp64Arg SNPのArg保有群は,非保有群に比べて減量しにくく,総コレステロールと中性脂肪の低下は有意に少なかった.また,UCP1-3826AG SNPのG保有群では,非保有群に比べて減量が有意に少なかった.以上は,肥満やMetSの病態理解に資し,また減量効果にSNPsの影響が少ないながらもみられる可能性を示唆している. 2)行動科学等を包含した健康教育の研究 β_3AR Trp64Argの惰報提供も含む減量教室を予備的に行ったが,これは減量効果に影響しなかった.有害事象もなかった.また,減量に効果的な行動要因としては,多変量解析で体重記録の励行が有意な因子であった.SNPs情報の伝え方(肥満への関与に関するリスクコミュニケーション)などの課題もあるが,いずれにせよ短期間では生活習慣や行動の改変の方が減量教育への影響は大きいように思われる.
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