研究概要 |
研究1では,精神障害者(原疾患:統合失調症)の障害の実態把握のための質問紙調査を行った.研究2では,質問紙調査の結果を基に,生活満足度改善に関わる要因についてのインタビュー調査を行った.そして,それぞれについて身体障害者(原疾患:ポリオ,脊髄損傷)の結果との比較を行った. 研究1:地域で生活する統合失調症の精神障害者を対象として,自記式質問紙調査の追加調査を行った.調査票の構造は,「心身の状態」「活動状況」「社会参加状況」「環境因子」「生活満足度」からなり,それをれについて,WHOの国際障害分類を元にした現状把握の質問項目と,VASTによる障害経過の記入を求めた.統合失調症では,社会性を要する活動では身体障害と同様の制限が見られた.障害や満足度の経過については,ポリオでは社会参加満足度と生活満足度が,脊髄損傷では社会参加状況と社会参加満足度,生活満足度が同傾向を示していた.一方で,統合失調症では社会参加状況,社会参加満足度,生活満足度の上昇し始める時期にズレがあった. 研究2:研究1の結果を基に,生活満足度改善に関わる要因を特定するためのインタビュー調査を行った.VASTの結果から,生活満足度の改善していた精神障害者を目的試行的に抽出し,8名の対象者にインタビューを行った、インタビューの内容については,質問に対する回答を集計し量的な分析を行うとともに,質的研究の手法であるEditing Approach(Constant Comparative Method)を用いた分析を行った.統合失調症の結果を,ポリオ・脊髄損傷の結果と比較したところ,生活満足度の改善に関わる要件には,障害の原疾患に固有のもの,障害の種別に固有のもの,障害の時期に固有のものがあることが示された.
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