研究課題
基盤研究(C)
Crohn病の病態において単球マクロファージ系細胞の活性化異常が鍵となることが明らかとされ、臨床的に実用化されている、あるいは開発途上にあるCrohn病治療薬の多くが活性化マクロファージを標的としたものであるが、非特異的なマクロファージ活性化の抑制のために、その効果の持続性や副作用があることが問題となっている。Crohn病における単球マクロファージ系細胞の活性化異常を規定している遺伝子異常あるいは遺伝子発現異常を解明し、それにもとづくCrohn病特異的な単球マクロファージ系細胞の活性化経路を是正する治療法の開発が急務とされている。まず、抗原提示細胞として腸間膜リンパ節樹状細胞に注目し、Crohn病の腸間膜リンパ節内でimmature DC1樹状細胞の増加とTh1サイトカインプロファイルをもち、転写因子T-betの発現が亢進したCD4陽性T細胞が増加していることが示され、このことはCrohn病の腸間膜リンパ節内でTh1免疫反応が亢進しており、その機序として樹状細胞によるTh1誘導が重要であり、Crohn病の病態において腸間膜リンパ節における免疫反応がトリガーになっている可能性が示唆された。次に、Th1型の腸炎を自然発症する、抑制性サイトカインIL-10の遺伝子欠損マウスを用い、マクロファージ(Mφ)による腸内細菌認識と腸炎誘導メカニズムについて検討を行った。正常マウスの腸管MφはIL-10高産生の抑制性Mφであり、腸内細菌への過剰な免疫反応を制御していることが明らかになった。一方、炎症性腸疾患モデルであるIL-10ノックアウトマウスでは内因性IL-10の欠損のため腸管Mφが異常な分化を遂げ、腸内細菌に対しIL-12過剰産生することが明らかになった。このように本来抑制性である腸管Mφの分化異常が腸内細菌に対する過剰な免疫応答を引き起こすと考えられた。
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