研究課題
基盤研究(C)
自己骨髄細胞移植による虚血性心疾患の血管新生療法に関しては、その実施に関して当院倫理委員会の承認を得ている。予定入院の虚血性心疾患患者は全例入院時に所定のプロトコールで組織ドプラ法を用いた解析が可能になるよう連続症例で心エコー検査を行い、治療適応症例の出現に備えた。平成17年7月に1例目の適応症例があり左回旋枝がカテーテルによる血管内治療やバイパス手術による血行再建が不可能と判断されたため同領域に対して自己骨髄細胞移植を施行した。自己骨髄細胞移植に伴う周術期合併症は認めず、術後経過は順調で、左回旋枝領域の移植部位の心筋虚血の改善を認めた(タリウム心筋シンチ)。組織ドプラ法による移植部位の組織ドプラ法による左室長軸方向の心筋ストレイン値を経過観察したが、明らかな改善は認められなかった。平成19年2月2例目の適応患者に対し冠動脈バイパス不適領域に自己骨髄細胞移植を施行した。本患者は虚血性心筋症を疑う拡張型心筋症様の左室機低下を示した症例であった。同様に左室長軸方向の心筋ストレイン値を経過観察したが、明らかな改善は認められなかった。また、コントロールとして冠動脈形成術を施行した狭窄部位、陳旧性梗塞領域、無治療を40例で経時的に経過観察したが、虚血部位で短軸方向のストレイン値が改善した以外は、有意な経時的変化は認めなかった。
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