研究概要 |
我々はアポE遺伝子欠損変異マウスの総計動脈を結紮し、さらに時間経過をおいてカフを装着させることによりカフ装着部に極めて効率に閉塞性血栓形成をともなうプラークラプチャーを誘導することに成功した。閉塞性血栓を伴うラプチャーはカフ装着後、経時的に増加し、7日目では100%、4日目でも60%以上に病変を認めた。そのラプチャー部位の組織学的性状につき検討したところ、 1)プラークラプチャーはカフ装着後4日まで経時的にカフ装着部分の内膜肥厚部のコラーゲン含量は減少した。 2)カフ装着により内膜肥厚部のアポトーシス細胞(ss-DNAならびにcleaved caspase-3の染色で評価)が急激に増加していた。 3)カフ装着により内膜肥厚部に白血球、とくに好中球の浸潤が認められた。 4)カフ増着後内膜肥厚部にMMP-2,MMP-9の存在が確認された。 さらに、プラーク破綻部位よりカフ装着から経時的に組織よりRNAを抽出し、real time RT-PCR法にて種々のMMPs, TIMPs, collagen type Iの発現を検討したところ、MMP-2, MMP-3, MMP-14, collagenはカフ装着時から装着後7日目まで経時的にmRNA発現が増加したが、一方MMP-9, TIMP-1は装着後4日目にmRNA発現のピーク後徐々に発現が低下した。またTIMP-2はカフ装着後急激に発現が低下し以後徐々に回復を認めた。 薬物によるプラークラプチャーの抑制を試みる目的で3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A reductase阻害剤の効果を検討したが、同薬剤はプラークラプチャーを有意に抑制した。
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