研究課題
基盤研究(C)
脳内活性酸素は交感神経系を活性化し、高血圧の病態における神経性機序に関与していることを示してきた。脳幹部に存在する延髄孤束核(NTS)や頭側延髄腹外側野(RVLM)は末梢からの情報を感知して主として交感神経系を介して全身血圧を規定する重要な神経核であり、心血管中枢として認識されている。NAD(P)H oxidaseはNTSにおける活性酸素産生の主要な酵素である。Rac1は低分子量G蛋白であり、NAD(P)H oxidaseの活性を規定するコンポーネントである。しかしながら、高血圧における心血管調節異常に対するNTS内のRac1を介する活性酸素の役割はわかっていなかった。従って、本研究では、高血圧モデルラットである脳卒中易発症性自然発症高血圧ラット(SHRSP)においてNTS内のRac1を抑制すると活性酸素産生が減少し血圧を低下させるか否かを検討した。NTS内のRac1活性はSHRSPにおいて対照である正常血圧ラット(WKY)に比べ増加していた。アデノウイルスをベクターとしたドミナントネガティブ変異体であるRac1遺伝子をNTS内へ遺伝子導入するとSHRSPでは降圧、心拍数減少、交感神経活動の低下が認められた。一方、WKYではそのような変化は認められなかった。また、Rac1の抑制はNAD(P)H oxidase活性及び活性酸素産生を低下させた。加えて、SHRSPのNTSにおいて消去系であるCu/Zn-SOD活性は、活性酸素産生が増加しているにもかかわらずWKYに比べて低下していた。NTS内にCu/Zn-SODを過剰発現させるとSHRSPではやはり降圧、心拍数減少、交感神経活動低下が認められた。以上の成績は、NTSにおけるRac1の活性化がSHRSPではNAD(P)H oxidaseを介した活性酸素産生産生を生じ、SHRSPの高血圧の病態の神経性機序に重要な役割を果たしていることを示唆する(国際学会及び国内学会で成果発表、論文投稿中)。さらに、脳内活性酸素の高血圧における神経性調節機序への関与は一酸化窒素産生系やRac1と同様の低分子量G蛋白であるRho/Rho-kinase系ともクロストークを有することが示唆された。また、降圧薬の一部は脳内活性酸素産生を減少させうることを示した。
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