研究概要 |
1.Taniguchi Y, et al. Pioglitazone but not glibenclamide improves cardiac expression of heat-shock protein 72 and tolerance against ischemia/reperfusion Injury in the heredity insulin-resistant rat. Diabetes 55:2371-2378,2006【目的】高温暴露(HT)による心臓HSP72の発現には,phosphatidylinositol 3-kinase(PI3K)依存性Akt活性化が必須であり,遺伝性インスリン抵抗性2型糖尿病ラットではこの経路が障害されHSP72発現が減弱し虚血耐性も減弱している,さらにインスリン抵抗性改善薬であるピオグリタゾン投与がこれを改善するとの仮説を検証した。【方法】OLETFラットを,ピオグリタゾン治療群(OLETF-Pio群),グリベンクラミド治療群(OLETF-GLIB群)に分けた。4週後にHTを与え,1および24時間後に心臓を摘出した。【結果】1.対照群に比しOLETFラットではHTによるPI3K依存性Akt活性化およびHSP72発現が低下していた。これらはピオグリタゾン治療により回復したが,グリベンクラミド治療では回復しなかった。2.摘出心を用いた虚血再灌流実験で,HTによる再灌流時左心機能回復の改善効果はOLETF心で低下しており,ピオグリタゾン治療により回復したが,グリベンクラミド治療では回復しなかった。【結語】HTによるHSP72発現にはPI3K依存性Akt活性化が必須であり,OLETFラットでは,インスリン抵抗性がこの経路を障害していると考えられた。 2.Kohno H, et al. Receptor-mediated suppression of cardiac HSP72 expression by testosterone in male rat heart. Endocrinology.2007 Mar 29【目的】HTによる心臓HSP72の発現を男性ホルモン(テストステロン)が抑制する仮説を検証した。【方法】雄性ラットに精巣摘出術を施し,4週後にテストステロン投与および非投与ラットにHTを与えた。【結果】テストステロンはHSP72発現を抑制し,虚血耐性を減弱させた(CK逸脱量,左室心機能,アポトーシスアッセイ)。【結語】テストステロンは,受容体依存性経路でHSP72発現を減弱させる。
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