研究課題
基盤研究(C)
1.胎仔心臓と不全心におけるSIRT1の細胞内局在1)発生初期(E12.5)と生後10週の心臓におけるSIRT1の細胞内局在を免疫組織染色法により同定した。SIRT1はE12.5では核に局在していたが、10週では細胞質に分布していた。心臓を核分画と細胞質分画に分けてWestern blottingで調べた実験でも同様の結果が得られた。2)拡張型心筋症モデルハムスター(TO-2ハムスター)を用い、不全心におけるSIRT1の細胞内局在を調べた。33週の心不全発症時にはTO-2ハムスターでは核に局在していたが、wild typeではマウスと同様に細胞質に分布していた。2.SIRT1の核-細胞質間移行COS7細胞にGFP融合SIRT1を一過性発現させると核に局在する。このCOS7細胞にL929細胞を加えてポリエチレングリコール処理を行なうと細胞融合が生じ、1つの細胞に2種類の核が存在するheterokaryonとなる。このheterokaryonを調べるとL929細胞の核にもGFP融合SIRT1が存在し、SIRT1が核-細胞質間を移動することが明らかとなった。3.SIRT1の核内移行シグナル(NLS)と核外移行シグナル(NES)の同定SIRT1のアミノ酸配列の解析およびSIRT1の欠失変異体・点変異体の細胞内局在の変化の分析により、SIRT1には2つのNLSと2つのNESが存在することが確認された。4.SIRT1によるアポトーシス抑制C2C12細胞に過酸化水素を加えるとアポトーシスが生じるが、核にSIRT1を一過性発現させた細胞ではアポトーシスが抑制される。NLSあるいはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)活性を持つアミノ酸配列に点変異を導入したクローンには抗アポトーシス効果はみられず、SIRT1によるアポトーシス抑制には核局在性とHDAC活性が重要であることが示された。
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Am J Physiol March 24(Epub ahead of print)
J Am Coll Cardiol 47
ページ: 626-634
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