研究概要 |
結核菌などの細胞内寄生菌肺感染症に対して、common mucosal immune system(CMIS)を利用して,粘膜面に効率よく防御免疫を誘導する粘膜ワクチンを開発するために,リステリア菌の感染防御ペプチド(細胞障害性T細胞のエピトープ・ペプチド)をパルスした樹状細胞を経気道的に投与し,そのワクチンとしての有用性を検討した.LPSで刺激し,成熟した樹状細胞を経気道的に投与することによって,肺内所属リンパ節のみならず脾臓においても,ペプチド特異的な細胞障害性T細胞が誘導されることが,1)ペプチド特異的テトラマーを用いたフローサイトメトリーと,2)ペプチド刺激によるIFNγの産生能の検討から明らかとなった.さらに,リステリア菌肺炎モデルを作成し,本ワクチンの効果と調べたところ,肺,脾,肝臓における臓器内菌量はワクチン投与によって有意に減少し,致死量の10倍のリンステリア菌を経気道的に接種した感染モデルでは著名に死亡率を減少させた.以上より,細胞内寄生菌による肺感染症に対して,LPS成熟樹状細胞に細胞障害性T細胞のエピトープをパルスし,経気道的に投与する粘膜細胞ワクチンは有用である可能性が示唆された.
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