配分額 *注記 |
3,760千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 360千円)
2007年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
腎臓の近位尿細管の管腔側膜の輸送担体URAT1は尿酸再吸収に働き、この欠損により尿酸排泄が亢進し、腎性低尿酸血症を来す。本疾患は日本人に多い。血縁関係のない71例の腎性低尿酸血症に対し、URAT1をコードする遺伝子SLC22A12の解析を行い、その変異の傾向と日本人に多い原因を明らかにした。 SLC22A12に遺伝子異常を認めた症例は、66例であり、5例に変異を認めなかった(7.0%)。最も多い変異は、URAT1の機能喪失を来すG774Aであり、変異の中で77.5%(ホモ接合体31例、複合ホモ接合体21例、ヘテロ接合体10例)を占めていた。すなわち日本人に多い原因は、G774Aが日本人で高率であるためであった。その理由として、ホットスポット、創始者効果、ボトルネック効果や日本の環境において疾患優位性を持っていた等が推定された。 日本人に多い理由を明らかにするために、ホモ接合体としてG774Aを持つ腎性低尿酸血症患者31例と健常者49名を用い、G774Aの5'側に650kbまで8SNPs、3'側に400kbまで5SNPsを選択し、連鎖不平衡パラメータをBengtssonらの方法(1981)により計算し、Rischらの方法(1995)に従い変異の起きた世代を推定した。 その結果、連鎖不平衡が認められ、変異の起きた世代は、平均341世代(95%信頼区間93-588世代,中央値=123世代,標準偏差=368)であり、6,820年前(95%信頼区間1,860-11,760年,中央値2,460年,標準偏差=7,360年)との結果を得た。信頼区間が広く、変異の起源が縄文時代とも、弥生時代とも取れる結果であった。しかし、韓国の腎性低尿酸血症の遺伝子変異は日本人と同様な傾向を示しており、大陸において変異が起こり、日本に渡り、創始者効果により、日本人の頻度が高くなったことが証明された。
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